レッドドラゴンを追い込み崩す予定の建物に、マルシルが導火線のように呪文を書き込む
「これで準備は完了
いつでもこの建物を崩壊させられる」
魔力にも余裕があることを確認するが、マルシルは不安な様子
当たるかどうかわからない魔法を直接レッドドラゴンに放つよりも、建物の下敷きにしたほうが確実だ、と自分に言い聞かせ落ち着こうとしている
「絶対に成功させる!」
「待っててねファリン」
カーン カン カン…
ライオスがセンシの鍋を叩き、レッドドラゴンの注意をひく
気がついた、
「走れっ!」
レッドドラゴンはゆっくり歩き出した、かと思うと急加速
ライオスによればレッドドラゴンは最速で時速60キロを出せるそうだ
しかしいまは地形で制御できる、大丈夫だと加える
「次の角を右へ!」
曲がった先は長い直線の通りだ
この直線で火の息を誘うと言う
竜は体内にためた燃料に舌打ちで着火することで炎を吐く
拘束した時暴れないよう道中ですべての燃料を排出させる作戦だ
『カンッ、カン!カンッ』
「舌打ち音(タンギング)だ!
鍋の後ろに隠れろ!」
レッドドラゴンが炎を吐いた
すさまじい量と勢いで吐かれた炎は一瞬でライオスたちを包み込む
しかし、鍋が炎を防いだ
「なんて熱量だ、だが…
鍋と魔術のおかげで耐えられる!」
「よしっ これなら いけ…」
鍋を見るライオスの顔が歪む
「これは…
鍋の熱が…
均一に広がって…」
「あっつ!!」
鍋を放り投げるライオス
ガラーン ガラーン…カラン…カラン…
鍋の響く音が静まる
目の前ではレッドドラゴンがじっとこちらを見ていた
再び走りだすライオスたち
チルチャックが鍋が熱いのは当たり前だとつっこむが、
ライオスは、アダマントの鍋は竜の炎を特別に防ぐと思っていたと、ナマリのせいにする
ナマリはそんなこと言っていない
『カッ カン カン』
第2波がくる!
仕方なくルートを変更
建物に逃げ込み間一髪セーフ!
屋根の上でぼーっとしているマルシル
異変に気がついた
予定より早い
燃料を全て吐き出させるにはまだ足りないはず
ライオス達3人が一緒に迫ってくる、二手に分かれるという作戦とは明らかに違う
予定外のことに戸惑うが、3人のジェスチャーもバラバラで読み取り不能だ
「ええーい わからん!
もうやっちゃうよ!?」
魔法を放つマルシル
渡り廊下が崩れる
タイミングは完璧だ
レッドドラゴンは瓦礫の下に埋もれていく…
瓦礫をじっと見守るライオス達…
煙が収まらないうちに
レッドドラゴンが勢いよく瓦礫をはねのけ起き上がる!
全く効いていない!
戸惑い、慌てる一同
ライオス「しっ…動くな」
死んだフリ作戦で乗り切ろうとする
竜がライオスの真上に首を伸ばす、逆鱗が目の前だ
「あと少し…」
ライオスは両手で祈るように、剣を逆手に持っている
手が震えだしたと思った瞬間…
ケンスケがひとりでに飛んでいった!
カラーン カラ カラーン…
「に 逃げやがった」
横たわるチルチャックと目が合う、
「……おま…」
チルチャックの声を遮るようにセンシが叫んだ
「立て!!上だっ!」
目を上げるとレッドドラゴンが再び炎を繰りだそうとしていた
「腹部に滑り込め!」
キレたチルチャックがライオスを罵る
悪かった、と謝る一方のライオス
レッドドラゴンもすごく怒っている様子だ
しっぽの側から抜けだそうとするも、しっぽの壁を壊す強力な一撃にひるみ動けない
「待ってて 今なんとかするっ」
マルシルだ
魔法が当たる、が詠唱が不十分らしい、レッドドラゴンにダメージはない
レッドドラゴンがマルシルに向き直った瞬間
センシが斧で足を攻撃する
しかし砕けたのはセンシの斧だった
センシ「…仕方ない」
包丁を取り出し、ライオスに手渡す
聞けばセンシの包丁はミスリル製だそうだ
ナマリに隠していたのは、言ったら殺されそうだったのでということ
ライオスがレッドドラゴンの足の指にミスリル製の包丁を突き立てる
刺さった!
しかし包丁の刀身では短い

出典:ハルタ2016MAY
致命傷を与ることはできないのではないかと、ライオスに不安がよぎる
そこに大きく振り上げられたレッドドラゴンの足が振り下ろされた!